ホームセキュリティを導入する家庭が増加-その理由は?

ホームセキュリティを導入する家庭が年々増加-その理由を解説

ホームセキュリティを導入する家庭が年々増えている-その理由は?

近年のストーカーや不審者による犯罪増加、不安感や防犯意識の高まり、少子高齢化による家庭内人数の減少、都市化等による地域コミュニティの希薄化などを背景に、家庭に防犯センサーや防犯カメラ、緊急ボタンを設置する「ホームセキュリティサービス」へのニーズが高まっています。
少し前のデータですが、市場調査会社の富士経済が2015年に発表した「セキュリティー関連の国内市場の調査結果」によれば、ホームセキュリティの市場規模は2013年の892億円から、2015年には推測で955億円に増加と発表。他方で、ホームセキュリティ最大手のセコムでは、家庭用安全システム「セコム・ホームセキュリティ」の契約件数が2010年には約48万件だったものが、2017年9月時点で約124万件と大幅に増加、実に3倍弱もの伸びを示していることがわかります。
「ホームセキュリティ」といえば、一昔前は一部の富裕層が導入するイメージが強かったものの、前述した数字が物語るように近年では一般的な家庭でも気軽に導入する人が増えています。
今回はホームセキュリティの増加理由について比較グッド編集部が独自の視点でご説明いたします。

理由その1 サービス価格が安くなったこと

理由その1は、ホームセキュリティサービスの価格が安くなったことです。
昔はホームセキュリティというと、初期費用、維持費用もそれなりに高価で、それこそお金持ち向けのサービスでしたが、最近ではさまざまな警備会社が市場に参入したことによる価格競争の激化、ネットワークシステムやクラウド、AIなどITの普及による業務の効率化、技術発展による機器の最新鋭化、集中コントロールセンターの効率化などにより、業界大手のセコム社の場合で一般的な一戸建て・買い取りだと月々4,500円~、2番手のアルソックの場合で同様条件だと月々3,500円~、全日警にいたっては機能をシンプルにしたかんたんプランの場合で月々1,800円(買い取りの場合)と破格値を打ち出しています。携帯料金が10,000円近くする現在において、各社とも月々数千円から利用できることが、増加の要因であることは想像に難くありません。

理由その2 治安に不安を感じている人が多いこと

理由その2は、地域の治安に不安を感じている人が多いことです。
ここで内閣府が2017年におこなった「治安に関する世論調査」をみてみましょう。
「ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか。それとも、悪くなったと思いますか。」との問いに、「悪くなったと思う」と答えた人が60%を超えています。
この割合は5年前の前回より減っていますが、それでも治安に不安を感じている人は少なくありません。
この傾向は男性よりも女性の方が多く、女性の約7割近くの人が、悪くなったと感じています。
また年代別では50代が悪くなったと感じている人がもっとも多く、次いで40代、60代、30代、70代、20代と続きます。

●「ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか。それとも、悪くなったと思いますか。」(回答は男女計)

よくなったと思う 35.5%
悪くなったと思う 60.8%

●悪くなったと思うと答えた男女別の割合

悪くなったと思う男性 51.7%
悪くなったと思う女性 69.5%

つきまといや面会強要などのストーカー被害も増加傾向にあり、自衛の手段として自宅にホームセキュリティ設置を検討する人が増えていることが想像できます。

理由その3 安心、防犯に対してお金を惜しまなくなったこと

理由その3は、安心、防犯に対してお金を惜しまなくなったことです。
社会の成熟とともに、私たちの消費が車や家電などのモノからサービスや体験などのコト消費に移りつつあるのは、近年よく言われていることです。利用者がサービスという無形のものに対してお金を払うことに抵抗が無くなって来ているのです。ホームセキュリティも同様で、防犯という一見目に見えない、形の無いサービス(センサーなどの機器は除いて)ではあるものの、妻や子ども、両親など大切な家族を守ってもらうという安心感、いざという時の犯罪の抑止効果などに対してお金を払っていると考えられます。
また少子高齢化にともない、自分の子どもや高齢の両親に対して、教育費や医療費以外にお金をかけやすくなったこともあります。
少し極端な例ですが、銃社会のアメリカでは「自分の家族は自分たちで守る」という考えが、現代でも主流であり、警察などに極力に頼らない自警的な意識が強くあります。日本ではそこまで治安が悪いわけでもありませんが、安心、防犯に対してお金を惜しまなくなったことは事実でしょう。

理由その4 参入警備会社が増えたこと(目にする機会が増えたこと)

理由その4は、参入警備会社が増え、サービス内容を目にする機会が増えたことです。
家庭の安全を守る「ホームセキュリティ」が日本で初めて発売されたのは1981年、セコムの手によってでした。それから40年近くが経とうとしています。その後も1986年にセントラル警備保障、1988年にはアルソックと、業界各社が個人家庭分野のセキュリティに進出をしてきました。
現在ではホームセキュリティ(機械警備)を扱う警備業者の数は全国で約650社!うち住宅を対象とした業者が約480社、住宅以外(企業など)を対象とした業者が約590社となっています。私たちの想像以上に参入している企業が多いのですね。※数字は警備業者の認定を受けた都道府県における営業所なども含む
全国にネットワークを持つ大手警備会社のほかにも、たとえば首都圏の東急沿線だけを対象にした東急セキュリティ、関西圏のみを対象とする関電SOS、九州を地盤とするにしけい(旧:九電ホームセキュリティ)などエリアを限定したホームセキュリティ会社もあります。
これらの企業がTVのCMや、雑誌、新聞、電車の中吊り広告、インターネット広告をおこなっていますので、自然と目にする機会が増えてきたことも頷けます。

理由その5 警察や救急との連携が進みつつあること

理由その5は、警察や救急など公的機関との連携が進みつつあることです。
犯罪や急病が発生すれば警察や救急に連絡するのは、当然のことですが、通報するほどでは無い出来事、近所の目が憚れることなどはよくあります。
実際、警察は明確な事件が起きなければ動くことは出来ませんし、また救急も同様に業務内容が明確に定められています。

ホームセキュリティ各社は、日頃より警察機関と連携を取りながら、研修会、講習会を実施し、地域の防犯対策について、関係を密にしており、民間ならではのきめ細かサービスを特長としています。
庭に不審な物陰が見えた、変な男が家の前にずっと立っているなど、犯罪との線引きが難しいグレーな部分、どっちなのかよくわからないようけど不安な出来事にも、対応が可能なのです。もちろんガードマン側でも現場の状況をみた上で、必要であればすぐに警察や救急に通報をしています。
つまり警察や救急ではカバーしきれない部分のフォローをしてくれるのという安心感がとても大きいのです。